モラロジー道徳教育財団は、創立100周年記念事業の一環として、9月10日から17日までの8日間、「歴史に学ぶ研修旅行 ポーランドとリトアニア」を開催しました。本研修には、青年派遣団18人を含む総勢52人が参加しました。ジャーナリストの井上和彦特任教授や現地ガイドの解説を交えながら、両国の歴史や日本とのつながりを辿りました。
ポーランドの首都・ワルシャワに着いた一行は、まず郊外のシベリア孤児記念小学校を訪れました。同校は、ロシア革命後の混乱でシベリアに取り残されたポーランド人孤児約760人が、1920年~22年にかけて日本に受け入れられた歴史を今に伝える学校です。生徒たちは日本とポーランドの国旗を手に一行を出迎え、「君が代」を披露してくれました。また、日本の侍とポーランドの騎士が描かれた壁画や、日本語、空手の授業からも、日本との交流が今日まで続いている様子が伝わってきました。
続いて、第二次世界大戦中のワルシャワ蜂起で、ナチス・ドイツの占領下で抵抗したイエジキ部隊の慰霊碑を訪ねました。この部隊を率いた大佐は、シベリア孤児として日本に救われた人物で、隊員にも多くのシベリア孤児がいました。市内では、祖国のために命を捧げた無名の兵士たちを追悼する無名戦士の墓にも思いを寄せ、ポーランドの歴史への理解を深めました。
ポーランドは、18世紀末に隣国によって国土を分割されて地図から姿を消し、第二次世界大戦でもナチス・ドイツとソ連に侵攻されるなど、国を失う危機を何度も経験しました。それでも、そのたびに独立を取り戻して立て直してきたことから、「不死鳥の国」とも呼ばれています。こうした歴史を踏まえ、現在の私たちが享受している自由や平和が決して当たり前のものではないことを学びました。
ポーランド南部の古都・クラクフでは、かつてポーランド王国の都として栄えた街の歴史に触れました。旧市街は世界遺産に登録されており、丘の上に建つヴァヴェル大聖堂は、ポーランド王国の歴代の国王が戴冠式を行い、多くの国王が埋葬されている場所です。ポーランドの歴史と伝統を今に伝えるこの大聖堂を見学した後、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所を訪れました。ナチス・ドイツが占領下のポーランドに築いた最大規模の収容施設で、ユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)を象徴する場所です。「ARBEIT MACHT FREI(働けば自由になる)」と掲げられた門をくぐり、展示室に残された、収容所に連行された人々のかばんや靴、眼鏡などの遺品と向き合うと、その一つひとつに犠牲者の人生があったことが胸に迫りました。見学後には、「言葉が見つからない」「これほど悲惨な出来事があったことを、自分は十分に知らなかった」といった声が上がり、歴史を風化させず次の世代へ伝えていくことの大切さを改めて考えさせられました。
続いて、バルト三国の1つ、リトアニアへ移動しました。第2の都市・カウナスでは、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人の命を救った外交官・杉原千畝の記念館を訪れました。また、ナチス・ドイツ占領下で多くのユダヤ人が犠牲となった第九要塞、湖に囲まれたトラカイ城を巡りました。杉原千畝は、ナチス・ドイツの迫害から逃れようとするユダヤ人約6,000名にビザを発給するなど、多くのユダヤ人の命を救ったことで知られています。こうした国や民族の違いを超えて人間の尊厳を守ろうとした杉原の行動から、命を尊ぶ精神の大切さを学びました。
今回の研修では、シベリア孤児救援に象徴される国境を越えた人々のつながり、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所で向き合った戦争の悲劇、そして杉原千畝の人道的な行動を通じて、命と平和の尊さについて深く考えさせられました。先人たちが築き上げた日本と両国を結ぶ歴史を学び、困難な時代の中で先人たちが示した勇気ある行動を未来へ受け継ぐ大切さを考える機会となりました。
当財団は、今後も次世代を担う人々が正しい国家観や歴史観などの広い視野を養い、人々の命や尊厳を重んじる心を育むための学びの機会を提供してまいります。











